久しぶりにそのパッションをぶつけるべく、今年読んだ漫画をイイも悪いも含めてちょこちょこと紹介していくね。第一弾はこちら。
![]() | ぬらりひょんの孫 1 (ジャンプコミックス) (2008/08/04) 椎橋 寛 商品詳細を見る |
関東の街、浮世絵町には趣のある大きな屋敷がある。そこに住む少年、奴良リクオ(ぬらりくお)は妖怪の総大将「ぬらりひょん」の孫。その血を四分の一、継いでいる。
ぬらりひょんの若き日の活躍を聞きながら育った彼は、その百鬼夜行「奴良組」を継ぐ日を夢見ていた。だが、あるとき学校の友人たちから「妖怪などいないし、いたとしても畏ろしい存在」と否定されてしまう。周りに妖怪たちがいるのが当たり前の生活だったリクオは打ちのめされる。
そんな折、奴良組の中で次期総大将をどうすべきかという話が持ち上がっていた。本来ならば跡目を継ぐのはリクオ。だが、事態は思わぬ方向に転び始める。
深夜枠でアニメ第二期が放送されはじめたこの作品。
勝手に家に上り込み、勝手にめし食って帰っていくという一見ショボイ妖怪「ぬらりひょん」に任侠道の親分という設定を加えた点がおもしろい。また、個性的な妖怪たちがたくさん登場する。各地の妖怪伝説をよく調べており、マイナーな妖怪の使用も多く、椎橋寛先生の妖怪への愛を感じる。
また、妖怪は畏れられるほど強く、それを失うと死に直結するなど、着眼点や設定もよい。
イラストはとってもスタイリッシュで格好よく、女の子も可愛らしく描かれているのがいい。現在、大ボス的な存在も現れ、それらのデザインもなかなか秀逸であるので、一見の価値はアリ。
だが残念だと感じるところも多くある。シナリオの粗さもそうだが、あまりにも登場人物が多いためちょっと混迷している部分もあるし、リクオくんのキャラが立っていないところもある。伏線や設定を昇華する描写が描かれていても、初見の人にはわかりづらい場面が多々見受けられる。もう少し、読者にやさしくしてもいいんじゃないかなとは感じた。
逆に言えば、妖怪が好きな人や自分でストーリーの行間を読める人の心をくすぐるマニア性がある。キャラにも中二病っぽいカッコよさを持つものが多い。そこが低年齢層も読むジャンプに似つかわしくない作風であるのにもかかわらず、一定の支持を得ているところだろうか。
現在、原作のストーリーは大きな山場を迎えている。ジャンプには打ち切りなどの厳しい判定もあるが、良いところまで来ているので、きちんとまとめてもらいたいところだ。
